day/dreamer

敬愛する古明地洋哉さんをはじめ、音楽や芸術について書き綴っていきたいと思っています

口笛

 古明地さんの新曲は、一体どのくらいあるんだろう。
 ライブで披露されているものだけでも、かなりの数にのぼっているはず。僕はそのことを思うと、逆に不安になってくる。
 だって僕は、全部聴きたいから。
 2枚組みでも、3枚組みでもいい。
 次のCDには、全てを収録してほしい。
 そんな子供じみた、僕の願い。


 それで、あんまり気になったものですから、古明地さんのオフィシャル・サイトのライヴページに掲載されているCD未発表曲を(大変に勝手ながら)リストアップしてみました。レイテスト・アルバム『夜の冒険者』が発表された2004年11月以降、2009年までのものです。


2004年
 ハルカナル


2005年
 eraserhead
 (you're)lucky star
 青死画
 morning bell
 fake
 i just sing a song
 broken arrow
 冷たい左手、汚れた右手
 シセル


2006年
 kingdom of rain
 僕の声(秘密の和音)
 ハナウタ
 この荒野
 unknown voices
 不感症
 ジョナサンセッズ
 endless waltz
 さっきまで夢を見てた
 alula


2007年
 花が咲いたら
 THE WILD FLOWER
 a perfect day
 promised song
 about a boy
 真夜中のキャロル
 口笛
 月(仮)


2008年
 ファウスト
 世界の終わる日
 are you sleeping?(仮)
 汚れた左手(仮)
 the cutter(仮)
 to tell the truth


2009年
 PRESTO
 yawning



 36曲、ありました。
 ぐはっ…。
 ああ…もっとライブに行っておけばよかった。
 日本全国、旅すればよかった。
 聴いていない曲の、なんと多いことだろう。
 切ない。


 古明地さんのアンセムと言っていいのではないかと思う『about a boy』が、2007年の時点ですでに発表されていたというのも、軽い驚きだった。そのメロディーが、あまりにも新鮮だからだと思う。
 昨年の年初に、突如として現れた嵐のような激情の曲『PRESTO』の衝撃は、今でも胸に鳴っている。


 そんな中でも、特に忘れられない一曲がある。
 2007年9月、名古屋のライブハウス「58Moon」で初めて聴いた『口笛』だ。
 とても素敵な曲だった。古明地さんのギターと歌声が、あんなにも穏やかな曲を紡いでいた。
 どんなに静かな曲調でも、むしろ、静かなら静かなほど、激情が狂おしく宿されている古明地さんの作品史の中にあって、あれほど柔らかに紡ぎ出された曲が、あれほど優しいフィーリングを醸し出していたというのは、僕にとって初めての体験だったと思う。


 口笛
 うまいでしょ?


 そばにいる愛しい人に語りかけるような歌詞。
 その歌の中で、口笛は美しく伸びやかに鳴り響いている。
 なぜなら、その世界には、雑音がないから。
 その世界には、二人しかいないから。
 ひっそりと静かな、二人だけの世界。そこは夜明けみたいに、すこし薄暗い。そして、少しだけ風が吹いている。心を切なく惑わせるような、穏やかな春風だ。
 

 いつか、この曲をカーステレオで聴きながらドライブできる日が、待ち遠しいな。