day/dreamer

敬愛する古明地洋哉さんをはじめ、音楽や芸術について書き綴っていきたいと思っています

溜め息をハレルヤに変えて


ワンマンライブが終わって、はや二週間がたち、古明地さんはその間に5本ものライブに出演されているというのに、僕はいまだに9月22日(土)のレポートを作成しているわけです。ちょっともう、レポというにはあまりにもタイムオーバー感が強すぎて、肩身が狭いのですが、続けてもいいのでしょうか…。


しかも、昨日10月7日(日)のセットリストを拝見したところ、sessionの演目に、古明地洋哉ファンに人気抜群のナンバー『灰と花』が…!


ぐはっ…!


なんてことなの…。


『灰と花』のセッション…聴きたかった…。


『灰と花』はむろん、皆さん同様、僕も激好きな一曲。カーステレオで聴きながら、何度絶唱したか分かりません。この曲の快感度合いはホント、半端ないっすよ。


前奏のアコースティックギターによる、飛び込み台からプールの水面へと跳躍する、その踏み出しの瞬間のような、切羽詰まったストローク奏法の美しい音色。呼び起こされる感動。ハーモニカの苦しいほどに切ない響き。胸に熱い何かがわきあがってくる。
やばい。また聴きたくなってきた…!


はあ…。
すべてを聴くべく全国を行脚したい気持ちは、やまやまなのです。
僕は本気で、博多に行くことも、車中泊で柳川を訪れることも、今回の土日のライブに行くことも、思いつめるほどに考えていました。
そして、その財源も確保し、旅程も組んでいたのですが…。
いろいろな事情により、それらは見送られることになったのでした。

 
今回は、レポも中断して、この下世話で仕様もない繰り言を続けさせてもらってよろしいでしょうか?
 

ガソリン代 7000円
高速料金  8300円(軽自動車で行って浮かせました)
ホテル代  5420円(じゃらんポイント1200円分利用)
電車代    300円
初日昼食   300円…サービスエリアで餃子。水とライスは家から持参。(←涙)
初日夕食   620円…餃子の王将
二日目朝食  220円…コンビニおにぎり
二日目昼食  200円…メロンパン
ライブ料金 3500円
合計   25860円


これが、前回の旅の、僕の支出内訳です。
僕もそれなりには、働いているので、このくらい、とは言いたいのですが、運転による疲労もなかなかのもので、できれば新幹線で行きたい、そうすると交通費もさらに7000〜8000円アップ、といった、この感覚、分かって頂けるでしょうか?(古明地洋哉ライブ鑑賞ツアーとか、誰か企画してくれるとありがたいのですが。)


しかも、今回の宿!


おそろしかった、ホント。


大久保駅まで歩いて10分、駐車料金込みで5420円というのは、まあ破格だとは思うのですが、旅のくつろぎとか、癒しとか、そういった観点からは極北的に遠い地点にある宿でした。


僕が泊まったのは5階だったのですが、廊下の感覚が妙なんです。つきあたり正面にある窓、それがごく一般の民家のタイプ、つまり、普通に全開になる式のもので、柵も何もなく、こういうの、宿泊業で反則でしょう! 訳もなく、そんな願望もないのに身を乗り出したくなってきます。5階下の地面を見て、唾を飲み込みましたよ!


部屋のカギは、ガチャリと差し込むと物理的な金属留め金が動くタイプ。アパートかここは!


埃っぽい部屋に入ると、窓はやはり廊下と同じ無防備な全開タイプ。
この宿、あるいはこの部屋ジャストで、何らかの事件が起こってる…ひょっとしたら複数…。
そんな確信に襲われて、背筋がゾクリとなりました。


カーペットはぼろぼろで煙草の跡はあるわ、埃だらけだわ、何やらどす黒い染みがあるわ…ひっ…血痕…!?
ベッドの脇には、持ち運びタイプの目覚まし時計。そこにも、まるでそれがオプションであるかのように埃が積もっている。


テレビのリモコンの、ボタンとボタンの間にも埃。
テレビは、小型冷蔵庫の上に置かれている。
それ、テレビ台!?


トイレに行くと、古い浴室の臭い。
便器が妙に壁に近く、もたれて用を足していたのですが、二枚張りの上下の壁面と壁面の間の溝から、赤錆びた水が浸み出している…!
うわっ! 袖に染みがついちまう!
あわててトイレットペーパーでなぞったら、錆び水が付くのだけど、汚れそのものは溝に固くこびりついていて、根本的な清掃は不可能。
あきらめて逆側に体を倒して用をたす僕…。


冷房は、我々がよく知る壁の上部や天井にあるタイプではなく、なんと床に設置する見たこともないようなタイプ。温度調節は、強・中・弱・切の四段で、親指でスライドさせるという代物。3枚ある金属のファンは言い訳しようのない経年疲労のために震えて回らず、風はその隙間から無理に吹き上げてきている!


それにしても感じるのは、この部屋のただならぬ不穏な雰囲気。というか、妙に生温かいこの感じは何なの!
携帯で写真を撮ろうと思ったのですが、撮って変なものでも写っていたら、それこそ僕はもう、ここで寝るというもはや義務でしかないミッションを完遂するための、わずかな勇気も挫かれてしまう! テレビ電話なんてとんでもない! そんなの、自分の背後が怖くて見られないよ!


楽しいライブに向かうため、部屋を出たのですが、今度はフロントに誰もいない。呼んでも呼んでも、誰も出てこない! こんなホテル、あるの!?


数分待って、ピンときた僕は、二階の食堂へ。案の定、さっきフロントで金を払った暗い顔をしたおっさんが、ピックで氷を砕いていた。このホテル、あんた一人で切り盛りしてるのか!
「あのー、鍵、預けたいんですけど…」
「持ってってもらっていいですよ?!」
あからさまに嫌そうな顔をして言うおっさん。それはつまり「預かるのはめんどいから、あんた持ってって」という明確なメッセージなのだということが、言外に強烈に漂っている。
「あの、ところで、夜って門限があるんでしたっけ?」
「ああ。一時に閉まります」
「一時を過ぎると?」
「入れません」
最後の質問に対する答えが、あまりにタイミング良すぎて、この質問に対するこの理不尽な答えを、このおっさんは何百回、客に押し付けてきたのだろう、という思いが頭に去来し、僕は無言で、できれば持って行きたくないこのホテルのキーを、鞄に入れたのでした。


いやー、もう、二度と泊まりたくないホテルです。今度からは、もう少しグレードを上げたいな。はあ…。



 今日のタイトル、何にしようかな…。