day/dreamer

敬愛する古明地洋哉さんをはじめ、音楽や芸術について書き綴っていきたいと思っています

古明地洋哉ワンマンライブ#2 2012.11.3①


 9・22のライブレポも終わらないうちに、11月3日(土)、古明地洋哉ワンマンライブ#2がやってきました。


 あの日(9・22)の第二部に演奏された、CD未収録作品群のすばらしさについて、なんとか書きたかったのですが、ついに書けないままでした。


 当初、僕は「PRESTO」という題の文章を書こうと思っていました。


 この曲を初めて聴いたのは、2009年2月。あれは梅田のライブハウス「ポテトキッド」でした。
 一度聞いただけで、『PRESTO』は、僕にとって特別なナンバーになりました。「すごい名曲だ」と思い、また「激情の曲だ」と思いました。聴き終わって、その場で心底から「もう一度!」と切望したほどです。


 『PRESTO』(急速なテンポで)という曲名のままに、聴き手の心を急速に、強く大きく揺さぶりかけてくる激しさをもった曲です。僕の記憶違いかもしれませんが、初めて聞いたときの、この曲のピッチは、やはり「PRESTO」していました。(そのように強く印象付けられただけかもしれませんが…)。


 いま、ミドルテンポで始まり、盛り上がりで否応なく加速する『PRESTO』は、心の激しさはそのままに、味わい深い一曲となっています。この曲に出会えて本当によかった、古明地洋哉のファンで本当によかった、と僕は思うのです。


 今回のライブ(11・3)も、前回(9・23)と同じく、二部構成でしたが、第一部のトリの曲として歌われたのが、この『PRESTO』でした。
 僕は、今回も、こみ上げる感情の波を抑えられませんでした。




 昼前に家を出て、東陽町の「R&Bホテル」(1泊・7100円)に着いたのは16時。


 バス、私鉄、新幹線、地下鉄と乗り継いで片道約4時間、往復全行程で3万5000円の旅です。
 新幹線の中では、ずっと読書していました。
 小さなお子さん2人を連れた親子連れが、通路を挟んだ3人席に座っていて、お父さんとお母さんは、泣く子を交互に抱き、ドアの向こうであやしていました。お母さんの方は見るからにぐったりして、一人になると泥のような疲れを宿して眠り込んでいます。
 

 東京駅に新幹線がゆっくりと入り、ずらりと並ぶJR清掃のピンクのユニフォームを着た女性たちを眺めながら、前回の車の旅を思い返し、去来するのは「新幹線はいいな…」という、しみじみした思い。


 ホテルの窓外には、大通りを行き来する車と、まばらな土曜の午後の人通り、向かいの緑が揺れる眺めがありました。


 清潔なホテルで、よかった…。
 清潔さ。
 ホテルにとってこれがなにをおいても大切なことなのだと、荷物を置きながら、またもやしみじみ感じていました。


 髪を洗い、髭を剃り、さっぱりとした気持ちで、夕の青白い東京の街並みへ。
 時間に余裕があったら中野のブロードウェイに寄ろうと思っていたのですが、東西線の改札を通ったときは、もう17時を過ぎていました。


 阿佐ヶ谷の空は、もう真っ黒な夜。
 9月の同じ時刻にここを訪れたときは、夕暮れの風情があったが、と思うと少し寂しくなりました。

 
 「鎌倉パスタ」か「ホープ軒」に入ろうかと思ったのですが、結局前回と同じ「餃子の王将」に入って、前回と同じ餃子と焼きそばを食べていました。今回は、生ビールも一杯だけ、胃に流し込んで。僕が酔うには、生ビール一杯で十分。なんだか、勝負前の牛みたいな気持ちになって、「harness」へと、ふらふら歩いて行きました。

                              (つづく)